栄養・食

MCTオイルとココナッツオイルはどう違う?効果や代用可否について解説

「MCTオイルとココナッツオイルはどう違うの?」と、考えている人も多いのではないでしょうか?

たしかに、MCTオイルとココナッツオイルのどちらにも、分解・吸収が速く、体内に蓄積されにくい中鎖脂肪酸が多く含まれます。
ただし、両者は中鎖脂肪酸の含有量や使用方法が異なるため、ココナッツオイルをMCTオイルの代用として使用することは困難です。

この記事では、MCTオイルとココナッツオイルの違い、効果や代用の可否について詳しく解説して行きます。

MCTオイルとココナッツオイルの違いを確認

最初に、MCTオイルとココナッツオイルとはどういったものかを確認しましょう。

MCTオイルとは?

「MCT」とは「Medium Chain Triglyceride」の略称で、日本語では「中鎖脂肪酸」と呼びます。MCTオイルは中鎖脂肪酸100%のオイルを指します。

脂肪酸には「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」の3種類があります。ふだん馴染みのある食べ物の多くに含まれる脂肪酸は、長鎖脂肪酸です。

中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸と比較して、分子量が半分程度となっています。中鎖脂肪酸のみを精製・抽出したものがMCTオイルと呼ばれものです。

短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸のおもな特徴と、それぞれが含まれる食品は以下のとおりです。

脂肪酸の種類 特徴 含まれているおもな食品
短鎖脂肪酸
  • 長鎖脂肪酸より分解・吸収が速い
  • 短時間でエネルギーになる
  • 体内に脂肪として蓄積されにくい
  • 便秘改善・免疫力アップ・コレステロールを減らす
牛乳などの乳製品・酢など
中鎖脂肪酸
  • 長鎖脂肪酸より分解・吸収が速い
  • 短時間でエネルギーになる
  • 体内に脂肪として蓄積されにくい
  • ダイエット・脳の認知機能低下を抑制する効果で注目されている
ココナッツオイル・パーム油、ヤギ乳・牛乳・母乳など
長鎖脂肪酸
  • 短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸と比べて、代謝(分解・吸収)に時間がかかる
  • 体内に脂肪として蓄積されやすい
オリーブオイル・ベニバナ油・キャノーラ油・こめ油・大豆油・えごま油・亜麻仁油・コーン油・グレープシードオイルなど

先述のとおり、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸と比較して分子量が約半分であるため、分解されやすくて消化も速く、エネルギー源として素早く消費されます。一般的な油と比べて約4倍速くエネルギーになります。

以上の特徴から、MCTオイルは「体内に蓄積されにくい脂肪」として、ダイエットに効果的といわれています。

脂肪酸の種類と使い分けのポイントを詳しく知りたい人は、以下の動画もご覧ください。

ココナッツオイルオイルとは?

ココナッツオイルとは、乾燥させたココナッツの胚乳(はいにゅう)から抽出されたオイルのことです。中鎖脂肪酸を多く含むため、MCTオイルと比較されることもあります。
しかし、実際には、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸の割合は、MCTオイルが100%であるのに対し、60%程度です。

MCTオイルとココナッツオイルにある2つの違い

それでは、MCTオイルとココナッツオイルの違いにはどのようなものがあるのか、見て行きましょう。
以下、MCTオイルとココナッツオイルの違いをまとめました。

MCTオイル ココナッツオイル
中鎖脂肪酸量 100% 60%程度
加熱料理 不向き 向いている
副作用 摂取しすぎると下痢や腹痛 摂取しすぎると下痢や腹痛
オススメの使用目的 ダイエット 美容改善

このようにMCTオイルとココナッツオイルには、さまざまな違いが見て取れます。
風味や味・脂肪酸量・加熱可否についても、それぞれ次のような特徴の違いがあります。

1.オイルの風味や味の違い

MCTオイルとココナッツオイルは、まず風味や味が違います。MCTオイルが無味無臭であるのに対し、ココナッツオイルは独特の甘い香りがあります。

MCTオイルに風味や味がないのは、中鎖脂肪酸を純粋に抽出しただけの油分であるためです。食べ合わせのことを考えると、食材の風味が変わらない無味無臭のMCTオイルを使うのが便利です。

2.オイルに含まれている脂肪酸量と加熱可否の違い

MCTオイルに含まれる脂肪酸は、中鎖脂肪酸が100%です。中鎖脂肪酸のみを抽出したものをMCTオイルと呼ぶことからもわかります。

それに対してココナッツオイルは、中鎖脂肪酸の割合は60%程度で、残りの40%は長鎖脂肪酸です。したがって、中鎖脂肪酸の性質を利用したダイエットの効果は、MCTオイルのほうが高いことになります。

含有成分の違いから、MCTオイルとココナッツオイルは調理方法も異なります。

MCTオイルは、加熱すると煙が立ちやすく危険です。そのため、加熱調理には向いていません。
それに対してココナッツオイルは、炒め物などの加熱調理にも適しています。

MCTオイルとココナッツオイルはどっちがいい?

ここまではMCTオイルとココナッツオイルのそれぞれの特徴と違いを見てきました。
それでは、MCTオイルとココナッツオイルのどちらを使えば良いのか、目的別に見てみましょう。

ダイエットが目的ならMCTオイルがオススメ

糖質制限を取り入れたケトジェニックダイエットをおこなう際には、MCTオイルがオススメです。ケトジェニックダイエットとは、糖質の代わりに脂肪を燃焼させてダイエットすることです。MCTオイルは純度100%の中鎖脂肪酸であるため、より効率的に脂肪を燃焼できます。

ココナッツオイルにも中鎖脂肪酸が含まれるので、ケトジェニックダイエットに使用することは可能です。しかし、先述のとおり、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸含有量はおよそ60%で、残りは長鎖脂肪酸です。
そのため、MCTオイルと比較するとココナッツオイルは、どうしても体内に脂肪分として蓄積されやすくなります。

MCTオイルは無味無臭でほかの食材との食べ合わせが良く、プロテインと混ぜて栄養補給も可能です。ココナッツオイルより使い勝手が良く手軽なため、人気が高まっています。

加熱料理に使うならココナッツオイルがオススメ

ケトジェニックダイエットをするにあたって、加熱調理した料理を食べたい場合もあるでしょう。その場合には、ココナッツオイルを使うのがオススメです。
なぜなら、MCTオイルは加熱すると煙が立ちやすく、加熱調理に向いていません。MCTオイルは加熱せずに摂取することが推奨されています。

MCTオイルをココナッツオイルで代用できる?

以上のことを踏まえると、ココナッツオイルをMCTオイルの代用品として利用するのは難しいことがわかるでしょう。
MCTオイルもココナッツオイルも中鎖脂肪酸が含まれているものの、ダイエット効果や使用方法が異なることが理由にあげられます。

まとめ

MCTオイルもココナッツオイルも分解・吸収が速く、ケトジェニックダイエットに効果的とされる中鎖脂肪酸が多く含まれます。
しかし、両者は中鎖脂肪酸の含有量や使用方法が異なるため、ココナッツオイルをMCTオイルの代用品として使うことは困難です。
MCTオイルとココナッツオイルは、使用目的に応じて使い分けましょう。

なお、MCTオイルはパウダータイプのものも製品化されています。パウダー状なので油浮きせず、温かいものにも冷たいものにも溶けやすく、使い勝手が良いのでオススメです。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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