栄養・食

HMBとは?山本義徳先生が効果的な摂取方法を解説

筋肉をつけるための成分が含まれた、HMBというサプリメントが近年話題になっています。筋肉が増えるスイッチを活性化させる働きのあるHMBは、トレーニングの効果を強力にサポートしてくれます。

しかし、HMBが働く仕組みや正しい摂取方法を知らないままだと、満足な効果を得られないことをご存知でしたか?HMBの働きと、しっかりと効果を出すための飲み方を山本義徳先生が解説します。

HMBとは

HMBとは、必須アミノ酸のうちの一つであるロイシンが体内で代謝されてできる物質です。

正式名称は3-Hydroxy 3-MethylButyrateといい、日本語表記だと「β‐ヒドロキシ‐β‐メチル酪酸」となります。サプリメントとしては、英語表記の頭文字をとったHMBという呼び方が一般的です。

食事やサプリメントで摂取したロイシンは以下のような過程を経てHMBへと変化します。

ロイシン → KIC(ケトイソカプロン酸) → HMB

しかし、この代謝の過程にはロスが多く、摂取したロイシンのうち実際にHMBになるのは5%ほどだと言われています。

ロイシンについて

ロイシンとは必須アミノ酸のうちの一つです。人体を構成するタンパク質は20種類のアミノ酸から成っています。そのうちの9種類は体内で生成できず、外から摂る必要があるため必須アミノ酸と呼ばれています。

またロイシンは、バリン・ロイシンと共に分岐鎖アミノ酸またはBCAAとも呼ばれており、運動パフォーマンスを高めるためのアミノ酸としても知られています。

ロイシンが含まれているサプリメントとしては、EAA(必須アミノ酸)・BCAA・プロテインがあげられます。しかし、ロイシンからHMBへは変換の効率が悪いため、次で紹介するHMBの効果を得たい場合は、HMBそのものをサプリメントで摂取した方が効率が良いのです。

HMBの効果

HMBには筋タンパクの合成・筋分解の抑制・細胞膜の安定など、主に3つの効果が期待できます。

筋タンパクの合成

HMBは筋タンパクの合成を高める効果があります。

細胞内にはmTOR(エムトール)という、細胞の成長を調節するシグナル伝達経路があります。mTORが活性することで、その細胞を構成する成分の合成が進み、結果的に細胞の成長と増殖が促されるのです。これは筋肉細胞においても同じで、筋タンパクの合成、つまり筋肉の成長はmTORが活性することにより起こるのです。

mTORを活性させる要因としてはトレーニングの刺激や、炭水化物を摂取することにより放出されるインスリンというホルモンや、血中アミノ酸濃度の上昇などがあります。そしてHMBもmTORを活性化させる要因となります。

つまり、HMBを摂取することで筋肉の合成が活性化が期待できるということです。

厚生労働省が発表する”「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書”にも、HMBが筋肉におけるたんぱく質合成を誘導する重要な働きをする物質として紹介されています。(高齢者の項目を参照)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

筋分解の抑制

そして、HMBには筋肉の分解を抑える作用が期待できます。

HMBを摂取することで、ユビキチンプロテアソーム系というタンパク質を分解する機能が抑制されます。

ユビキチンは、タンパク質の品質管理のような役割をしています。そしてプロテアソームとはタンパク質を分解する酵素です。

病気などの理由によりできてしまった正常ではないタンパク質は取り除く必要があります。そのようなタンパク質に、ユビキチンがくっつき目印となります。その目印にプロテアソームという酵素が働き、タンパク質が分解されるのがビキチンプロテアソーム系の仕組みです。

そして、トレーニングによって増えた筋肉にもユビキチンプロテアソーム系が働いてしマイいます。なぜなら必要以上の筋肉量はエネルギーの消費が多く、生きていく上で必要ないと判断されてしまうからです。

HMBでユビキチンプロテアソーム系を抑制することで、筋肉の分解を防ぐことができます。

特に筋肉が減りやすい減量中に使うことで、HMBの体感は得られやすいことでしょう。

細胞膜の安定作用

さらにHMBには細胞膜を安定させ、炎症を抑える働きがあることが分かっています。

トレーニングをしていると細胞膜に炎症が起き、壊れてしまうことがあります。細胞膜とは、細胞の中と外を隔てる膜のことです。この細胞膜が壊れてしまうと、細胞は正常な活動ができなくなってしまいます。

HMBで筋細胞の細胞膜が安定し炎症反応を抑えることで、筋肉痛や疲労感の軽減が期待できます。

HMBの摂取方法

HMBを摂取しても、血中濃度はすぐに下がってしまいます。2〜3時間おきに少しずつ摂取することで血中濃度が保たれ、HMBの効果を得ることができます。

1回500mgのHMBを6回から12回に分けて摂取し、1日トータルで3〜6gくらいになるようにすることで安定してHMBの効果を得られるでしょう。

コストが高いと感じる人は?

HMBは決して安価なサプリメントではないため、毎日摂り続ける場合のコスト面が気になる人もいるでしょう。

そのようは場合は、特にハードにトレーニングをする時期だけにHMBを摂るようにしましょう。

3週間ハードにトレーニングを行う時期にHMBを摂り、その次の3週間はやりすぎを避けるために軽いトレーニングを行いHMBは摂らない、というサイクルを組むことで節約にも繋がります。

ハードなトレーニングを行うと筋肉の合成も高まりますが、同時に分解も高まってしまいます。そこでHMBを摂取することで、筋肉の分解を防ぐことができます。つまり、トレーニングをハードに行なっているときこそHMBは効果を発揮します。トレーニングを軽めに行う時期や、筋トレをしないダイエットを行う人はHMBを摂っても無駄になってしまう可能性があるのです。

プロテインやEAAとの違い

筋肉をつけるためのサプリメントとしてHMBと並んで、プロテインやEAAが有名です。HMBには盛大に効果をうたう広告も多く、違いが解らず混乱を招く原因となっているのかもしれません。

プロテイン・EAAは、ロイシンも含めたさまざまな種類のアミノ酸(たんぱく質)を摂取するためのサプリメントです。それに対してHMBはロイシンの代謝物を直接摂取できるサプリメントとなっています。

プロテイン・EAAはアミノ酸(たんぱく質)なので、身体を作るための材料となります。HMBはロイシンの代謝物ではありますが、これはたんぱく質合成のためのスイッチを入れるシグナルを送るものです。つまり両方の役割は全く異なったものになります。

EAAを十分に摂取すると、EAAに含まれるロイシンがHMBになるので、体内でHMBが生成されます。しかし、HMBとしての効果を十分に得るためには、1日に3gほどの摂取が必要です。

3gのHMBを得るためには、60gものロイシンが必要になることを考えると、EAAだけで十分なHMBの効果を得ることは難しいと言えるでしょう。

プロテインとEAAをしっかりと摂った上で、HMBを追加することではじめて両方の効果を得ることができるのです。

まとめ

HMBの効果を得るためには、ベースとなるプロテインなどの摂取を欠かすことができず、さらにハードにトレーニングをしていることが前提です。それを考えると、もっとトレーニング効果を追い求めたい上級者向けのサプリメントであると言えるでしょう。

さらにトレーニングのレベルを上げ、さらなる結果を求めたい人は、ここで紹介した効果的な飲み方をぜひ参考にしてください。

記事監修者 情報

山本 義徳(やまもと よしのり)

静岡県出身の日本のボディビルダー、トレーニング指導者。
プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。
2019年4月から投稿を始めたYouTubeチャンネル『山本義徳【筋トレプログラム】』を開設。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)(下)

【SNS】
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