ダイエット

糖質制限における脂質摂取量の目安とは?摂りすぎは良くない?

糖質制限中は、糖質を控える代わりに脂質をたくさん摂ります。そのため「脂質の摂りすぎが心配」という人もいるでしょう。

脂質の大量摂取は肥満や動脈硬化につながるイメージがあるため、摂取を控えたくなるかもしれません。しかし、脂質は糖質制限中の最重要エネルギー源となるため、控えてはいけません。

この記事では、脂質摂取を控える必要がない理由と、具体的な摂取量の目安をお伝えします。

ちなみに、ここで解説するのは、山本義徳先生の考える糖質制限の理論です。食事からの糖質摂取をほぼゼロに抑え、脂肪を多く摂ることによって、ブドウ糖ではなくケトン体をエネルギーとして使うケトーシスを目指すもので、ケトジェニックダイエットの理論と同じです。

糖質制限では脂質をたっぷり摂る【控えてはいけない】

糖質制限では、脂質の摂取を控えてはいけません。その理由と具体的な摂取量目安を以下で紹介します。

脂質を控えると筋肉が減る

糖質制限で脂質まで控えると食事は低糖質・低脂質になります。しかし、それではただのカロリー制限食です。
エネルギーが極端に不足すると、体内では筋肉などを分解しエネルギーを生み出そうとします。つまり筋肉がどんどん減ってしまうのです。
その結果、基礎代謝が落ちて太りやすく、リバウンドもしやすい身体になります。

糖質制限中は糖質を控える分、脂質・たんぱく質でエネルギーを十分に補う必要があります。

糖質制限の最適なPFCバランスは3:6:1

糖質制限中の食事バランスを考えるときに活用したいのが「PFCバランス」です。「P=たんぱく質(Protein)」「F=脂質(Fat)」「C=炭水化物(Carbohydrate)」を示します。

糖質制限をおこなう際の最適なPFCバランスは3:6:1(中たんぱく・高脂質・低糖質)です。PFCバランスはそれぞれの栄養素のグラム数の比率ではなく、カロリーの比率です。糖質制限では、1日のカロリーの6割を脂質から摂取することになります。

日本人の1日の平均脂肪摂取量は、男性で70g、女性で50g程度ですが、糖質制限時はこの倍以上摂ります。仮に1日の総摂取カロリーが2,000kcalだとすれば、その6割の1200kcalを脂質から摂ります。グラム数で換算すると約130gです。糖質制限に最適なPFCバランス(3:6:1)を実践する場合、最低でもこのくらいは摂取しないと、エネルギーが不足します。

脂質の過剰摂取、あまり心配はいらない

脂質の摂りすぎに不安を感じるかもしれませんが、あまり気にしなくてOKです。摂取した脂質はそのまま皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されるわけではありません。細胞を形成したりホルモンの材料になったりと、体内で使い道がたくさんあるからです。

また、脂質は吸収されにくいという特徴を持っています。水に溶けにくく、腸から100%吸収するのは難しい栄養素です。脂質を食べすぎてもすべて体内に吸収されることはなく、ケトン体の材料になるので問題はありません。

1日にサーロインステーキを2〜3kgも食べる、卵を20〜30個も食べるといった、常軌を逸した量を摂取しない限り、糖質制限中は脂質をたっぷり摂っても太る心配はまずありません。

脂質をたくさん摂れるオススメの食べ物

ここからは、良質な脂質をたくさん摂れるオススメの食べ物を紹介します。

卵1個あたりに、たんぱく質が6.2g、脂質が5.2g含まれています。そのほかにもビタミンやカルシウム、鉄などの健康を維持するために必要な栄養素が豊富です。

私たちの身体を構成するアミノ酸のうち、9種類の必須アミノ酸は、体内で合成することができず、食事から摂る必要があります。その必須アミノ酸の理想とされる摂取量に対して、食品中でどの程度満たしているかを示す指標を「アミノ酸スコア」といいます。

卵はそのアミノ酸スコアが高く、良質なたんぱく質といえます。
価格が安定していて、食事に取り入れやすいことも大きなメリットです。

チーズ

チーズは脂質やたんぱく質のほかにも、カルシウム・ビタミンB2・ビタミンAが豊富です。
小腹がすいたときの間食には、6Pパックのチーズがオススメです。調理が不要で手軽に脂質を補うことができます。

肉類

肉類は脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルに富んだ優秀な食材です。比較的安価に入手できる豚肉・鶏肉がオススメです。脂身・皮は取り除かずに調理しましょう。

魚類

魚類のなかでも脂質を多く含むのがサバ・イワシ・サンマなどの青魚です。魚油に含まれる不飽和脂肪酸は悪い油ではありませんが、酸化しやすいという特徴があります。そのため、酸化防止作用があるビタミンEを一緒に摂るといいでしょう。

調理油

調理油のなかでもバター・ラード・ココナッツオイル・オリーブオイルを選ぶようにしましょう。

特にココナッツオイルは「中鎖脂肪酸」が豊富で、エネルギーとして燃焼されやすく、脂肪が貯まりにくい特長があります。熱に強いため、サラダ油の代わりに加熱調理時に使用するのがオススメです。

サラダ油は、多く含まれるオメガ6脂肪酸による健康リスクが指摘されているので、あまり大量に使うのは避けたほうが良いでしょう。

ナッツ

ナッツはジャイアントコーンなど一部の種類を除き、低糖質・高脂質の食べ物です。糖質制限中に不足しやすい食物繊維も補えます。小腹が空いたときの間食に最適です。
ナッツ製品は、油で揚げていないローストタイプをオススメします。油で揚げたものは、質の低い油が使われている可能性があるためです。

まとめ

ここまで、糖質制限中の脂質摂取の重要性について解説しました。

糖質制限中は脂質をたっぷり摂らないとエネルギーが不足し、筋肉が分解されてしまいます。1日の総摂取エネルギーのうち、60%を脂質から補いましょう。最低でも100〜140g程度は摂取しないと、エネルギーが不足してしまいます。

平均的な日本人の食事からすると、脂質の摂りすぎが心配になるかもしれませんが、摂取した脂質がすべて体脂肪として蓄積されることはないので心配はいりません。
良質な脂質を含む食べ物で、たっぷりと脂質を摂ってください。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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