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ミスターオリンピアとは?2020年の優勝者を紹介

ミスターオリンピアは世界で最も有名で、かつハイレベルなボディビルのコンテストです。チャンピオンたちは、筋トレの頂点を極めていると言っても決して大げさではないでしょう。

この記事では、ミスターオリンピアの歴史と概要、そして2020年12月におこなわれた最新の大会の結果を紹介します。

ミスターオリンピアとは

ミスターオリンピアとは、プロボディビルダーの世界最高峰とされるボディビルコンテストです。世界的なボディビル団体のIFBBの創始者でもあるジョー・ウイダーにより発足され、1965年から現在に至るまで毎年開催されています。

主催団体IFBBについて

ミスターオリンピアを主催するIFBB(国際ボディビルダーズ連盟)は、条件を満たす成績を修めた選手に、IFBBプロと呼ばれる資格を付与しているボディビル団体です。1946年に立ち上がり、近年では世界でもっとも権威のあるボディビル団体と言われています。

最近では日本でも、IFBBプロになるための登竜門であるプロクオリファイと呼ばれる大会が開催されるようになり、大変盛り上がりを見せています。

出場資格

ミスターオリンピアはプロのボディビルダーのためのコンテストであるため、出場するためにはまず、IFBBプロ資格を保有していることが大前提です。しかしIFBBプロ資格を持っている選手が全員ミスターオリンピアに出場できる訳ではありません。

ミスターオリンピアへ出場するには
・ミスターオリンピアでの優勝経験があること
・前年度のミスターオリンピアに入賞していること
・その年度のプロ大会で上位に入賞していること

といった厳しい条件が存在します。

オリンピアの競技カテゴリー

発足当時の競技カテゴリーはボディビルのみでした。しかし近年ではボディビルとは異なる基準で競う、メンズフィジーク・クラシックフィジーク・フィギュア(女性)・ビキニ(女性)などのさまざまなカテゴリーが増設されて盛上がりを見せています。

男性カテゴリー

ボディビル(Bodybuilding)

 

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ボディビルはミスターオリンピアが発足した当時から存在する、一番歴史の古いカテゴリーです。そして一番大きな筋肉量を要求されるカテゴリーでもあります。時代が進むにつれて、筋肉の大きさがより重視される審査基準の変遷はありますが、筋肉の大きさを意味するバルクと、極限まで体脂肪を削ぎ落とすカットが評価の対象であることは昔から現在まで変わりません。

また、現在では212ポンド(96kg)までの体重制限のあるボディビルのカテゴリの、ボディビル212も存在します。

メンズフィジーク(Men’s Physique)

 

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メンズフィジークは2013年から新設されたカテゴリーです。選手は大腿部がほとんど隠れるサーフパンツを履き、筋肉を過剰にはアピールしない自然なポージングをとります。ボディビルほどの多くの筋肉量は求められませんが、適度に発達した肩と背中による上半身のVシェイプと、それらをより強調するためのウエストの細さも大切なポイントとなります。

クラシックフィジーク(Classic Physique)

 

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クラシックフィジークは2018年から新たなカテゴリーとして設けられました。ボディビルのカテゴリーは時代が進むにつれて、筋肉の巨大さがどんどんと求められるようになり、次第に全身のバランスや繊細さが失われていきました。それに対してクラシックフィジークは筋肉のバルクよりも、均整の取れた美しさとプロポーションが重視されます。その身体はまるで70年代のボディビルを彷彿させます。

女性カテゴリー

ボディビル(Woman’s Bodybuilding)

 

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女性のボディビルは男性のボディビルと同様に、筋肉の巨大さと絞りが求められます。規定ポーズも男性のボディビルと同じです。一時期、女性らしさがコンテストの審査基準として重要視され、女性のボディビルが撤廃になってしまったこともありました。しかし2020年のミスターオリンピアでは、女性のボディビルカテゴリーが復活しています。

ウィメンズフィジーク(Woman’s Physique)

女性のボディビルが撤廃になったとき、代わりに新設されたのがウィメンズフィジークです。ボディビルと似た規定ポーズがありますが、バルクよりも女性らしさや芸術性をアピールするものにアレンジされています。

フィギュア(Figure)

 

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女性らしい筋肉の美しさを競うのがフィギュアです。ボディビルやウィメンズフィジークほどの多くの筋肉量は求められませんが、全身の筋肉のバランスや絞り具合が審査の対象です。

ビキニ(Bikini)

 

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女性らしい美しさを競うのがビキニです。筋肉量や絞りよりも脚やヒップのラインがより重要視されます。トータルでの美しさも審査されるため、髪型やメイク、そしてステージでのウォーキングなどによって作り出される雰囲気も重要な要素となります。

フィットネス(Fitness)

フィットネスは、ポージングをとって身体の完成度を比べるラウンドと、ダンス・体操・エアロビクスなどの要素を取り入れたパフォーマンスをおこなう2つのラウンドから構成されます。身体の見た目だけではなく、身体能力も問われることが他のカテゴリーとは異なる点です。

ミスターオリンピア2020年結果

2020年のミスターオリンピアは例年通り9月に開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で12月へ延期されました。会場もここ20年ほどはラスベガスでおこなわれるのが恒例でしたが、フロリダへと変更となっています。

歴史上例を見ない波乱の中でおこなわれた2020年オリンピアの優勝者達をご紹介します。

男性カテゴリー

ボディビル

マムド・エルスビエイ

 

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ビッグラミーのあだ名で知られるマムド・エルスビエイが、休養期間から復帰し初優勝を果たしました。

ボディビル212

ショーン・クラリダ

 

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身長が低く体重も80kgほどしか無いショーン・クラリダは、大きな対戦相手を打ち負かす様から、ジャイアントキラーのあだ名で親しまれています。前年度より身体の完成度を大幅に上げて初優勝を果たしました。

クラシックフィジーク

クリス・バムステッド

 

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2019年に引き続き、クリス・バムステッドが2連覇を果たしました。

メンズフィジーク

ブランドン・ヘンドリクソン

 

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2019年はエドモント・レイモントに敗れたブランドン・ヘンドリクソンでしたが、見事チャンピオンに返り咲きました。

女性カテゴリー

ボディビル

アンドレア・ショー

 

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ウィメンズフィジーク

サラ・ヴィレガス

 

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フィギュア

シンディ・ギロン

 

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ビキニ

ジャネット・ラユグ

 

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フィットネス

ミッシー・トラスコット

ミスターオリンピアの歴史

ミスターオリンピアは50年以上の歴史のあるコンテストです。第一回目の大会はニューヨークで開催され、それ以降はアメリカを中心として世界中で開催されています。2000年代に入ってからはラスベガスで行われるのが恒例でしたが、2020年のオリンピアは新型コロナウイルスの影響で、場所をフロリダに移して開催されました。

オリンピアの発足から現在までの歴史をご紹介します。

60年代

ミスターオリンピアは、当時最高峰のコンテストであったミスターユニバースの勝者同士を競わせるため、IFBBの創始者でもあるジョー・ウイダーによって1965年に初めて開催されました。第1回目と2回目の優勝者はラリー・スコットです。その後は今でも伝説と称されるボディビルダーのセルジオ・オリバが3連覇をしています。

 

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70年代

70年代になってからは、アーノルド・シュワルツェネッガーがそれまで連覇していたセルジオ・オリバを破り、それから6連覇を果たします。映画「パンピング・アイアン」ではオリンピアに向けてトレーニングをするアーノルド・シュワルツェネッガーが大きく取り上げられ、ボディビルが一般的に認知されるきっかけにもなりました。

 

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80年代

80年代に入ると、リー・ヘイニー、ショーン・レイ、リッチ・ギャスパリといった名だたるボディビルダーたちが台頭します。筋肉量と全身のプロポーションのバランスの良さを兼ね備えたリー・ヘイニーは、8連覇という記録を打ち立てます。

90年代

90年代のボディビルは、筋肉の均整やバランスよりもとにかく巨大なバルクを求める方向へとシフトしていきました。ドリアン・イエーツやロニー・コールマンといった巨大な筋肉をもつボディビルダーたちが現れます。ついにオリンピアの優勝は叶いませんでしたが、ボディビルのレジェンドとして知られるフレックス・ウィラーは、1993年・1998年・1999年の3回、2位に入賞しています。

2000年代

2000年代のオリンピアの象徴的な存在であるロニー・コールマンは、2006年にジェイ・カトラーに敗れるまで8連覇優勝を成し遂げています。2008年に優勝したデキスター・ジャクソンは、年齢50歳を超えた2020年現在でも現役でオリンピアに出場しておりトップクラスの成績を獲得し続けています。

 

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2010年代

フィル・ヒースは巨大なバルクをもつボディビルダーでありながら、筋肉の発達の偏りによる弱点の無い体型で7連覇を達成しています。そして王者フィル・ヒースをあともう少しで破りそうな勢いで完成度の高い身体を誇っていたのが、ライバルとして知られるカイ・グリーンです。

またこの時代から、ボディビル以外のフィジークやビキニなどの競技カテゴリが追加されました。

 

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現在〜

2018年にはショーン・ローデンが、2019年にはブランドン・カリーが優勝し、フィル・ヒースの連覇時代とははまた違った流れが始まっていると言えるでしょう。2020年にはビッグラミーの愛称で知られる、マムド・エルスビエイが圧倒的なバルクで初優勝を果たしました。

この先ビッグラミーが連覇を続けるのか、それとも新しいチャンピオンが誕生するのか、これからのオリンピアからも目が離せません。

歴代優勝者

1965年 ラリー・スコット
1966年 ラリー・スコット
1967年 セルジオ・オリバ
1968年 セルジオ・オリバ
1969年 セルジオ・オリバ
1970年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1971年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1972年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1973年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1974年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1975年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1976年 フランコ・コロンブ
1977年 フランク・ゼーン
1978年 フランク・ゼーン
1979年 フランク・ゼーン
1980年 アーノルド・シュワルツェネッガー
1981年 フランコ・コロンブ
1982年 クリス・ディッカーソン
1983年 サミア・バヌー
1984年 リー・ヘイニー
1985年 リー・ヘイニー
1986年 リー・ヘイニー
1987年 リー・ヘイニー
1988年 リー・ヘイニー
1989年 リー・ヘイニー
1990年 リー・ヘイニー
1991年 リー・ヘイニー
1992年 ドリアン・イエーツ
1993年 ドリアン・イエーツ
1994年 ドリアン・イエーツ
1995年 ドリアン・イエーツ
1996年 ドリアン・イエーツ
1997年 ドリアン・イエーツ
1998年 ロニー・コールマン
1999年 ロニー・コールマン
2000年 ロニー・コールマン
2001年 ロニー・コールマン
2002年 ロニー・コールマン
2003年 ロニー・コールマン
2004年 ロニー・コールマン
2005年 ロニー・コールマン
2006年 ジェイ・カトラー
2007年 ジェイ・カトラー
2008年 デキスター・ジャクソン
2009年 ジェイ・カトラー
2010年 ジェイ・カトラー
2011年 フィル・ヒース
2012年 フィル・ヒース
2013年 フィル・ヒース
2014年 フィル・ヒース
2015年 フィル・ヒース
2016年 フィル・ヒース
2017年 フィル・ヒース
2018年 ショーン・ローデン
2019年 ブランドン・カリー
2021年マムド・エルスビエイ

まとめ

ミスターオリンピアは世界最高峰のボディビルコンテストで、優勝者に与えられるミスターオリンピアの称号は、ボディビルダーにとって最も名誉のあるタイトルです。

歴史を通して、さまざまな特徴をもつ選手たちが活躍しています。自分が目指したい身体の選手を見つけて、目標やモチベーションにするのも良いでしょう。

そして、話題性のある選手が現在も続々と登場している、これからのミスターオリンピアの動向からも目が離せません。オリンピアの歴史が変わる瞬間が、この先も訪れる事でしょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。

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