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大胸筋の筋トレを一挙紹介!男らしい胸板の作り方を山本義徳先生が解説

山本義徳

筋トレで鍛えたい部位として必ず名前が上がるのが、大胸筋です。強くて男らしい身体の印象は、大胸筋によって作られていると言っても過言ではありません。

本記事では、山本義徳先生がオススメする大胸筋を鍛えるための種目を一挙ご紹介します。

大胸筋とは?

大胸筋とは、胸部を形作る大きな筋肉です。上半身の中でも大きく目立つため、筋トレで鍛えたい部位として、とても人気です。

しっかりと鍛えることで上半身の厚みが増し、シンプルなTシャツを着ていても見栄えのするスタイルを手にいれることができます。さらにスーツの着こなしレベルも上がり、ビジネスシーンやフォーマルな場でも格段に印象が良くなることでしょう。

大胸筋の起始・停止・作用

起始・停止とは、筋肉の始まりと終わりのことを指します。筋肉は関節をまたいで付着しているため、収縮することで関節に動きが生じます。起始と停止を把握することで、その筋肉にどのような作用があるのか理解することができ、さらにはトレーニングをする上でもどのような動きをすれば狙った筋肉に効くのかが分かります。

大胸筋は大きな筋肉のため、筋繊維が走る方向によって上部・中部・下部に分類されておりそれぞれの働きも異なります。

大胸筋上部

大胸筋上部は鎖骨のすぐ下から盛り上がるような胸の筋肉を形成します。均整のとれた大胸筋を形作るだけではなく、タンクトップなどの胸元が空いた服を着たときには直接見える場所でもあるので、鍛えておくことで上半身の印象を大きく変えることができます。

起始
鎖骨の内側2分の1

停止
上腕骨大結節稜(だいけっせつりょう)

作用
肩関節の内旋・水平屈曲・屈曲・外転

大胸筋上部にはさまざまな作用がありますが、発達させる上で特に重要なのが、肩関節の屈曲動作です。肩関節の屈曲とは、腕を斜め上に上げる動作のことです。

大胸筋中部

大胸筋中部を鍛えることで、胸板の厚さを作り出すことができます。また、大胸筋の中で一番体積が多いのも中部です。大胸筋の厚みをつけることがたくましい上半身を手に入れる上で特に重要です。

起始
胸骨および第2~7肋軟骨の前面

停止
上腕骨大結節稜

作用
肩関節の内旋・水平屈曲

腕を真横にあげた状態から身体の前に持っていく動作が水平屈曲です。ベンチプレスや、ダンベルフライなどの基本的な種目は肩関節の水平屈曲が大きくおこるため、大胸筋中部が発達しやすい種目です。

大胸筋下部

大胸筋下部は、胸部とみぞおちを分ける輪郭を形成しています。胸板の厚みはあるのに大胸筋の形がはっきりとしない場合は、下部の筋肉量が足りていない場合が多いものです。大胸筋の輪郭を形成する下部を鍛えることで、脱いでも見栄えのする身体に近づくことができます。

起始
腹直筋鞘前葉(ふくちょくきんしょうぜんよう)

停止
上腕骨大結節稜(じょうわんこつだいけっせつりょう)

作用
肩関節の内旋・内転

腕が身体の横を通って胴体に近づく動作が、肩関節の内転です。トレーニングにおいて大胸筋の下部をさらに収縮させるためには、腕を身体の前方の斜め下に押し出す意識をもつと良いでしょう。

大胸筋を鍛えるトレーニング種目一覧

大胸筋を鍛えることが出来るトレーニング種目を、ジムトレーニングと自重トレーニングに分けてご紹介します。

トレーニング環境や目標に応じて、適切な種目を選びましょう。

ジムでおこなう種目

ジムに置いてあるバーベルやダンベル・マシンなどの器具を使うメリットは、狙った部位を刺激しやすく、さらには負荷の調節が簡単であることです。発達させたい部位にピンポイントに効かせることができるのは、ジムでおこなうトレーニングならではです。

ベンチプレス


もっともポピュラーな大胸筋のトレーニングといえば、ベンチプレスでしょう。
ベンチ台に仰向けになり、バーベルを垂直に押し上げる種目です。高重量を扱いやすい種目でもあり、大胸筋を全体的にしっかりとバルクアップさせたい人に適しています。

関連記事:ベンチプレスを山本義徳先生が徹底解説!筋肥大に効くフォームとは?

インクラインベンチプレス

ベンチに角度をつけて、頭の方を高くした状態でベンチプレスをおこなうのがインクラインベンチプレスです。普通のベンチプレスと比べて扱える重量は減ってしまいますが、肩関節の屈曲動作が大きくなるため、大胸筋上部をより使いやすくなります。

関連記事:インクラインベンチプレスで大胸筋上部を刺激する!山本義徳先生が解説

デクラインベンチプレス

インクラインベンチプレスとは逆に、頭の方を低くした状態でベンチに角度をつけておこなうのがデクラインベンチプレスです。肩関節の内転の動作が大きくなり、大胸筋下部が使われます。

ダンベルベンチプレス

ダンベルベンチプレス

バーベルの代わりにダンベルを使ってベンチプレスをおこなうのが、ダンベルベンチプレスです。バーベルと比べて重心が安定しないため、扱える重量は少なくなります。しかし、ダンベルを使用するためバーベルよりも負荷の動く可動域は大きくなり、より強くストレッチ・収縮が起きることによって大胸筋に効果的な刺激となる可能性もあります。

ダンベルフライ

両手にダンベルをもち、手のひらを向かい合わせた状態で円運動を描くような軌道でダンベルを上下させます。肩関節を内旋させずにニュートラルな状態でおこなうことで、肩関節により負担をかけることなく大胸筋に高重量の負荷をかけることができます。

関連記事:ダンベルフライを山本義徳先生が解説!大胸筋を大きくしたい人必見

ディップス

平行棒の上で、両手で支えてバランスを取りながら身体を上下に動かす種目です。上半身を前傾させ、両手を絞り込むような意識で動作をおこなうことで大胸筋下部を鍛えることができます。

関連記事:ディップスで上半身のボリュームアップ!山本義徳先生が解説

ケーブルクロスオーバー

ケーブルクロスオーバーには、ジムに設置されているケーブルマシンを使用します。持ち手となるハンドルを装着した2本のケーブルを両手にもち、両手を近づける動きをおこないます。動きの軌道を変えることで、大胸筋のどの位置に効かせるかコントロールすることができます。

関連記事:ケーブルクロスオーバーが大胸筋の筋肥大に効果的な理由を山本義徳先生が解説

マシンチェストプレス

マシンチェストプレスは、ジムに設置されているマシンの名称です。ベンチプレスのような動きをシートに座った状態でおこなう専用のマシンです。ベンチプレスのフォームの習得が難しいと感じる人でも、マシンでチェストプレスをおこなうことで、安全に効果のあるトレーニングをおこなうことができます。

メーカーによってマシンの規格はさまざまで、シートの幅や高さ、グリップの角度が異なります。

自重でおこなえる種目

腕立て伏せなどに代表される自重トレーニングは器具を使わずにおこなえるため、初心者むけかと思われるかもしれません。しかし、的確に大胸筋に効かせるためには慣れとテクニックが必要であることから、ある意味上級者むけの種目でもあるということができます。

プッシュアップ

プッシュアップとは、いわゆる腕立て伏せのことを指します。両手を地面につき、肘の曲げ伸ばしをして上下運動をおこなうことで、大胸筋を全体的に刺激することができます。

インクラインプッシュアップ

椅子や台などの高さのある物に両手をついて、頭の方を高くした状態でプッシュアップをおこないます。通常のプッシュアップよりも負荷が弱くなるため、強度が強くて難しいという場合はインクラインプッシュアップをおこなうと良いでしょう。

デクラインプッシュアップ

逆に足の方を台に載せて頭の方を低くしておこなうのが、デクラインプッシュアップです。大胸筋にかかる負荷が高くなるため、通常のプッシュアップでは物足りない人にオススメです。また、デクラインにすることで、腕が頭の方に近づく軌道となるため大胸筋上部に効きやすくなります。

ダイヤモンドプッシュアップ

両手の指先どうしが触れるまで近づけた狭い手幅でプッシュアップをおこないます。手幅を狭くしておこなうと上腕三頭筋の関与が増えますが、大胸筋の内側にも効かせることができます。

上級者むけ 大胸筋の筋肥大を加速させるマンデルブロトレーニング

トレーニングを始めたばかりの人の身体は変化しやすく、大胸筋にも目覚ましい成長がみられるでしょう。しかし、しばらくトレーニングを続けている中上級者には、身体がトレーニングの刺激に慣れてしまい成長が滞ってしまう停滞期がどうしても訪れます。

そんなトレーニング中級者や、上級者にまで取り入れていただきたいのがマンデルブロトレーニングです。

マンデルブロトレーニングとは

マンデルブロトレーニングとは、山本先生が考案した効率よく筋肉を発達させるためのトレーニングメソッドです。高重量・中重量・低重量の3つの刺激を使い分けることで、身体をトレーニングに慣れさせずに継続的な筋肉の発達を促します。

関連記事:マンデルブロトレーニングを徹底解説!さらに上を目指したい人必見

大胸筋のマンデルブロトレーニング

実際に大胸筋のマンデルブロトレーニングをおこなう場合は、それぞれのフェイズで次のような種目を中心に選択すると良いでしょう。

フェイズ1

フェイズ1では、8〜10回あげられる重さで、通常のボディビルトレーニングをおこないます。ベンチプレスなどの重量を扱うことのできる種目が適しています。

ベンチプレス
ダンベルフライ
インクラインダンベルフライ
など

フェイズ2

フェイズ2では、高重量の刺激をいれるために、脚で地面を蹴る力で上げ自力で下ろすネガティブのみでおこなうディップスや、高重量を短いインターバルでおこない追い込むレストポーズ法などを活用します。

高重量ベンチプレス
高重量ダンベルフライ
ネガティブだけのディップス
など

フェイズ3

フェイズ3では、重量を軽くする代わりに20〜30回の高回数でのトレーニングをおこないます。

ケーブルクロスオーバー
低重量インクラインダンベルフライ
など

まとめ

大きな筋肉である大胸筋を鍛えることで、見栄えのする上半身を手にいれることができます。さらにバランスの良い形の大胸筋を作るためには、本記事で紹介した種目を参考にしながら、上部・中部・下部に分けて鍛えましょう。

また、さらなる成長を目指したい中上級者は、山本先生オリジナルのトレーニングメソッドである、マンデルブロトレーニングを取り入れてみてください。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
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