EAA

EAAとBCAAの違いとは?筋トレをするならどっちがいい?【山本義徳監修】

混同されがちなEAAとBCAA。その違いを正しく説明できる人はあまり多くありません。どちらも筋トレに効果的というイメージはあっても、細かな違いまで正確に理解するのはなかなか難しいものです。

そこで今回は、ボディビルダー兼トレーナーの山本義徳先生監修のもと、EAAとBCAAの違いやそれぞれの特徴、プロテインとEAAの違いについて解説します。サプリメントの正しい知識を付けて、より効率的なバルクアップを目指しましょう。

この記事の内容は、以下の動画「EAAとBCAA、プロテインはどう違う?」でも解説しています。

EAAとは

EAAとは、カラダを構成する20種類のアミノ酸の中に属する9種の必須アミノ酸です。ほかの11種の非必須アミノ酸は体内での生成が可能ですが、必須アミノ酸は体内で作ることができないため食べ物やサプリメントで補給する必要があります。しかし食品から摂取するのは限界があるため、EAAサプリメントを摂取して必須アミノ酸を補給するのです。

ちなみにEAAは必須アミノ酸のサプリメントを意味して呼ばれることもあります。

以下がEAAに含まれる9種類の必須アミノ酸です。

必須アミノ酸(EAA) 体内で期待される役割・効果
ロイシン(BCAA) たんぱく質の合成、肝機能サポート、筋肉強化
バリン(BCAA) たんぱく質の合成、肝機能サポート、血液中の窒素バランスの調整
イソロイシン(BCAA) 成長促進、血管拡張、肝機能サポート、筋肉強化、神経機能サポート
フェニルアラニン 精神安定、食欲抑制、鎮痛効果
スレオニン 成長・新陳代謝の促進、肝機能サポート
ヒスチジン 神経機能サポート、成長促進、慢性関節炎やストレスの緩和
トリプトファン セロトニン生産サポート、安眠効果、精神安定
リジン 肝機能サポート、免疫力向上、カルシウムの吸収促進、脳卒中の発症抑制、ホルモン・酵素の生成
メチオニン アレルギーによるかゆみ軽減、肝機能サポート、抑うつ効果

必須アミノ酸の中で特に筋肉の合成促進や分解抑制に役立つのはロイシン・イソロイシン・バリンの3種であり、総称してBCAAと呼ばれます。

EAAは効率よくバルクアップさせるための材料やシグナルが揃っているため、多くのトレーニーが注目しているサプリメントなのです。

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EAAとBCAAの違いとは

EAA以外にも必須アミノ酸を摂取できるサプリがBCAAです。先ほども紹介しましたが、BCAAは分岐鎖アミノ酸の事で、ロイシン・イソロイシン・バリンの3種の総称。筋肉の合成や分解抑制の促進を働きかけます。

以下がEAAとBCAAを比較すると以下のとおりです。

EAA 全9種類の総称。体内での生成が不可能で、食事やサプリメントから摂る必要あり。
BCAA 3種のみの総称で分岐鎖アミノ酸の事。必須アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンを絞ったもの。

では、EAAとBCAAそれぞれの得られる効果について解説します。

EAAから得られる効果

EAAは9種類の必須アミノ酸で構成されているサプリメントのため、筋肉を合成するシグナルや材料が豊富に含まれています。

EAAを摂取することで期待できる効果は以下の通りです。

  •  筋肉肥大化のサポート
  •  基礎代謝の向上
  •  集中力の向上

筋肉肥大化サポートのほかに、基礎代謝の向上や集中力の向上など付随する効果もあるのが特徴的です。

では、それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

筋肉肥大化のサポート

EAAは筋肉の合成促進や分解抑制などのシグナルとなるBCAA群(ロイシン・イソロイシン・バリン)や筋肉の材料となるほかのアミノ酸が含まれています。そのため、効率的な筋肉肥大化のサポートが期待できます。また、たんぱく質のように消化作用を介することはなく、直接腸に吸収されるため早めに効果が発揮されるのも強みです。

たんぱく質はトレーニングや運動することによって筋肉から分解されていき、やがて枯渇していきます。体内のたんぱく質が不足してくると筋肉からエネルギーを補給するように切り替わってしまうため、筋肉量の減少の原因となってしまうのです。そのような状態にさせないためにも、EAAの摂取ですぐにアミノ酸を補給し、分解を抑制して順調に筋肉増量を目指せます。

基礎代謝の向上

EAAに含まれるアミノ酸の一種「スレオニン」は新陳代謝を促進させる効果があり、基礎代謝向上が期待されています。非必須アミノ酸とEAAの必須アミノ酸が合成されるとたんぱく質ができますが、たんぱく質が増えると身体の代謝も向上します。そしてトレーニングや運動をすると筋肉が多く使われるため、EAAを取り込むとで基礎代謝も効率的に向上させられるのです。

人は何もしなくても、呼吸や心臓の動きなどカロリーは使われるため消費されていきます。基礎代謝は何もしていない状態で消費されるカロリーを指し、基礎代謝が高いほど消費するカロリーも増えるわけです。そのため基礎代謝が向上すると、筋肉増加とともに脂肪燃焼にも大きくつながり、減量やダイエットにも大きく効果を発揮してくれるでしょう。

理想のボディメイクをするには、基礎代謝の向上も欠かせません。

集中力の向上

EAAにはヒスチジンというアミノ酸が含まれ、神経機能サポートの役割があります。神経機能が向上すると集中力の向上にもつながるため、トレーニング中の集中力持続にも効果が期待できるでしょう。

特に負荷の大きいトレーニングや長時間のトレーニングの場合は、途中で集中力が切れてしまいがち。集中力が切れることによってふとした不注意でケガをしてしまうリスクも上げてしまいます。スクワットやデッドリフトなど、腰に負担がかかりやすい種目をおこなう際は特に集中力が大事です。

さらに集中力を低下させることで、トレーニングの意識までもが低くなるため効果を薄める可能性も。集中力を維持させてトレーニングの質を上げるためにもEAAは心強い味方になってくれるはずです。

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BCAAから得られる効果

BCAA(分岐鎖アミノ酸)はロイシン・イソロイシン・バリンの3種類に厳選して作られたサプリです。3種類の効果としてたんぱく質の合成・筋肉強化・肝機能のサポートが望まれています。そして筋肉分解の抑制・持久力の向上・集中力の向上の効果も期待できるため、筋肉量の減少防止と強化も望めます。

価格も安いことから愛用するトレーニーも多く、特にバルクアップを目指す人にはBCAAの摂取はオススメ。またBCAAは吸収も早く、すぐ効果を発揮させるのに優れているためトレーニング中の摂取にも効果的です。

しかし、BCAAは必須アミノ酸の中の3種のみで形成されており、すべての必須アミノ酸を兼ね備えるEAAにはどうしても劣ってしまうところは否めません。BCAAは筋肉を合成させるためのシグナルを送ることがメインともいわれ、直接筋肉を合成させる役目としてはEAAよりは弱いといえます。

プロテインと併用することでBCAAに足りない部分を補えるため、BCAAを摂取したい人はプロテインとセットで選ぶと良いでしょう。

筋肉分解の抑制

BCAAは筋肉強化に長けたアミノ酸成分で占めており、同時に筋肉分解の抑制にも役に立ちます。筋肉分解は、筋肉量の増加を望む人にとっては効率の悪化やトレーニング効果の半減につなげてしまいます。特にトレーニング中は筋肉の分解が激しくなるため、余計に分解を抑制させることが重要になるのです。

また分解を抑制させるには吸収の速さも欠かせないポイントになります。BCAAは3種類の必須アミノ酸成分で構成されているため、吸収はかなり速いのが特徴。筋肉合成と分解抑制の信号を素早く送り、効果発揮を促します。「筋肉のエネルギー源」ともいわれるほど筋肉強化には欠かせない成分なので、積極的にBCAAの補給をおこなうことが大切です。

持久力の向上

BCAAは運動パフォーマンスを上げることにも大きな効果が期待できます。アスリートの中でも練習前や試合前にBCAAを補給している人が多く、コンディショニングの維持やランニング時のエネルギー源にもなるのです。

スポーツにおいて持久力はかなり重要なフィジカル要素になります。マラソン、サッカー、バスケットボール、水泳など持久力が必要となるスポーツにもBCAAはかなり有効です。では、なぜBCAAを摂取すると持久力アップにつながるのか。それはBCAAには乳酸の上昇を抑えられるからです。

運動強度が一定ラインを超えて強くなると乳酸が発生してきます。乳酸が溜まることでパフォーマンス低下につながり、思うような結果に結びつかなくなる可能性もあるのです。そこで、乳酸対策として利用できるのがBCAAであり、運動前に摂取しておくことでパフォーマンスをキープさせ翌日のコンディションにもつなげてくれるのです。

集中力の向上

BCAAの効果として筋肉の合成促進や分解抑制、持久力強化などフィジカル面での効果が目立ちますが、実は運動やトレーニング、さらに仕事など日常生活においての集中力も向上させられるのです。リラックス効果や安眠効果を与えるアミノ酸成分「トリプトファン」によるセロトニン生成を抑制してくれるため、高い集中力の維持につなげます。

トレーニングや競技、仕事なども時間が経つにつれて集中力が無くなってきます。集中力というのはスポーツでベストパフォーマンスを出せたり、仕事で成果を上げるためには欠かせないものです。

BCAAは、日々スポーツに仕事に全力で打ち込む人の集中力をサポートする意味でも、プラス効果を得られるサプリメントといえます。

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EAAとBCAAの違いと使い分けのコツ

筋肉痛の緩和を促し、トレーニングのパフォーマンスアップの効果があるとされるBCAAは、筋肥大自体の効果よりも筋肥大の作用に対してシグナルを送る役割が強いのです。筋肥大のきっかけを作る目的であればBCAAでも問題ありません。しかし筋肥大そのものを目的として摂取するのであれば、EAA摂取のほうが高い効果は期待できます。

EAAはBCAAを含んだ9種類の必須アミノ酸が含まれており、筋肉合成のシグナルと元となる材料の2つを兼ね備えています。よって筋肉強化や分解抑制はBCAA単体よりも効果は大きいのです。

そのため、効率的なバルクアップのためには、プロテインとあわせてEAAを摂取することをオススメします。

EAAとBCAAはどっちがダイエットに向いてる?

EAAやBCAAは筋肉を増量する上ではどちらも大事な栄養源です。しかし基礎代謝を向上させて脂肪燃焼させる際はEAAがダイエットに向いているといえます。EAAは必須アミノ酸9種類が含まれており、体内にある非必須アミノ酸と合成してたんぱく質を生成しています。たんぱく質は基礎代謝を向上させる役割もあり、体内にあるたんぱく質量が多くなれば代謝も良くなります。

運動やトレーニングのお供にEAAを摂取することで、身体活動によって失われたアミノ酸を補充し血中アミノ酸濃度のキープが可能。効率良く筋肉を生成でき、筋肉量が増えることで基礎代謝も向上するのです。

BCAAは基礎代謝向上というよりかは、筋肉疲労の軽減と筋肉を動かすためのエネルギー源としての役割が大きいのが特徴です。BCAAにあるロイシン・イソロイシン・バリンは筋肉強化の元となる成分ですが、これらは筋肉発達・筋損傷の軽減がメインのため、EAAよりは基礎代謝効果が薄いと見られます。

BCAAもプロテインと一緒に摂取すると基礎代謝向上効果もセットで得られますが、サプリメント1つで両方の効果を期待できるEAAのほうが効率的です。さらにEAAとプロテインを併用すると1日中アミノ酸濃度を高く保ちやすくなります。

トレーニングで筋肉量を増やし、プロテインとEAAを併用してトレーニング効果を上げると基礎代謝アップに効果的です。

EAAを摂取するタイミングや量について

せっかく高価なEAAを摂取するなら、より効果が期待できるタイミングや量も意識したいですよね。以下では、EAAを飲むタイミングや量についてご紹介します。

起床時・トレーニング前・トレーニング中の摂取がオススメ!

起床時は身体中の栄養が枯渇しているため、EAAを朝一で摂取する事で筋肉が分解されるのを防ぎます。

トレーニングを始める前にアミノ酸を補っておく事で持久力がアップし、筋肉が分解せず、継続してトレーニングを含めた活動をおこなう事ができます。 また、トレーニング中に水分補給感覚でEAAを摂るのもオススメです。

ただし、いずれにしても一気に飲んだり、過剰に飲みすぎたりするとお腹が緩くなる事があるため、体質や体調に合わせて飲む量を調整しましょう。

10g~15gをゆっくり摂取!

EAAの効果を実感するためには、一回につき10~15gの摂取が必要です。 しかし、飲めば飲むほどいいというわけではないため、多くても1日20~25gまでに留めておきましょう。

摂取の際のポイントはゆっくり飲むという事です。急いで一気に飲むと、お腹に負荷がかかります。下痢しやすい人などはくれぐれもご注意ください。

また、トレーニング中の栄養摂取を目的とするワークアウトドリンクなどに混ぜて飲むのも効果的です。ワークアウトドリンクに含める材料の一つとしてEAAを加えると、よりトレーニング効果を高めます。グルタミンやシルトリンなど筋肉作用がありそうな成分と一緒に摂取すると良いでしょう。

食後に飲むのはNG!

筋肉を増やすのが目的なら、EAAを食後に飲むのは避けましょう。EAAの吸収が緩やかになり、最も効果が出るタイミングが3時間後になってしまうためです。

EAAの飲み方については、以下の動画「こんな風にEAAを飲んでいる人はもったいない!EAAの効果が出ない飲み方とは」でも解説しています。

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オススメのEAAサプリメントを紹介

効率良くトレーニングをおこなう際にオススメするサプリメントが「VALX EAA9」です。ボディービルやパワーリフティングのレジェンドである山本義徳が完全監修。たんぱく質生成に必要な必須アミノ酸9種類をたっぷり配合し、効率良く最速で身体作りを促進させる効果が期待できます。

そしてトレーニング中の負荷を軽減し、集中力向上の手助けをするβアラニンも配合。1回のトレーニングの質を高めるためには欠かせない成分も含まれています。アメリカの研究論文で、βアラニンを摂取することで神経筋の疲労を軽減し、スプリント能力を向上させる可能性も指摘されています。

参考:「β-アラニンが神経筋疲労を軽減し反復スプリント能力を向上する

EAAのマイナス要素としては味の癖が強くまずいところです。VALX EAA9は飲みやすさにもこだわりを入れ、継続しやすいようにシトラス風味・コーラ風味・パイナップル風味と3つの味を入れています。これらの味によってまずいイメージを払拭し、継続しやすさにもつながります。

BCAAの含有率も高いため、トレーニングのお供としてぜひ活用してみてください。

まとめ

似たものとして違いが分かりづらいEAA・BCAA・プロテイン。今回はEAAとそのほかを比較し、それぞれの特徴や違いをご紹介してきました。

まとめると以下のようになります。

EAA:BCAAを含む必須アミノ酸9種類
BCAA:「バリン・ロイシン・イソロイシン」3種類のみの総称
プロテイン:たんぱく質そのものが含まれており、分解されるとアミノ酸に変化する

筋トレの生産性を高めるためには、必須アミノ酸を9種類含むEAAを活用しない手はありません。ただしBCAAやプロテインにもそれぞれの特徴があるので、目的に合わせて使い分けたり併用するのがオススメです。トレーニングやご自身の身体に合わせて、最適な栄養を補うようにしましょう。

バルクアップを頼もしくサポートしてくれるEAAを、ぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか。

公式ライン

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。

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