トレーニング

大胸筋の効果的な自重トレーニングメニューを山本義徳が伝授!

分厚くたくましい胸板を手に入れたい男性は多いでしょう。

分厚い胸板を作る大胸筋は、ジムに通わなくても自宅でおこなえる自重トレーニングで十分に鍛えられます。

今回は、自重でおこなえる大胸筋の効果的なトレーニングメニューを紹介します。

大胸筋(4部位)の働き

大きな筋肉である大胸筋は、4つの部位で構成されています。
各部位の働きを知ることで、効率的な鍛え方や動作時の負荷が分かりやすくなります。

上部

大胸筋の上部は、外転と呼ばれる、動作の際に働く筋肉です。

手を上げるときや、上にある物をとるとき、物を投げるときなど、腕を肩より上に上げる動作を、外転といいます。

腕を動かすときに多くおこなう動作なので使用頻度が高く、大胸筋の中では一番鍛えやすく、発達もしやすい筋肉です。

外側

大胸筋外側の筋肉は、腕を肩よりも外側に動かす際に働きます。

大胸筋外側が関わる外側に開いたり閉じたりする動作を、水平内転といいます。大胸筋外側を鍛えることで水平内転がスムーズになり、大胸筋全体の可動域が広がります。可動域が広がると、運動能力が向上します。

大胸筋は真ん中から腕に向かうほど筋肉密度が高いため、外側の筋肉はトレーニングをすればするほど効果が出やすい特徴があります。

内側

大胸筋内側は、腕を内側に引き寄せるときに働く筋肉です。

手を合わせるときなどに使われますが、普段の生活ではほかの大胸筋の部位と比べ、比較的使用頻度が低い筋肉です。

この筋肉を鍛えると大胸筋が盛り上がり、全体に厚みのある胸板につながります。普段あまり使用しない部位だけに、意識して鍛えないと成長しません。

下部

大胸筋下部は、腕を肩より下に下げるときに働く筋肉です。

肩より下に動かす動作を、内転といいます。大胸筋内側と同様に使われる頻度が低く、鍛えづらい筋肉です。

しかし、この下部を鍛えると腹筋・大胸筋の境界がはっきりとして、美しいメリハリのある大胸筋が手に入ります。

盛り上がった美しい胸板を作り上げる、ボディメイクに欠かせない筋肉です。

大胸筋を鍛えるメリット・デメリット

大胸筋を鍛えることで得られるメリット・デメリットを紹介します。

メリット

大胸筋を鍛えると、以下5つのメリットがあります。

・たくましい胸板で男らしさを演出できる

大胸筋を鍛えると分厚いたくましい胸板になり、男らしさを演出できます。たくましい胸板があると、スーツもかっこよく着こなせるようになるので、女性からの視線も変わるかもしれません。

・基礎代謝がアップする

大胸筋は、全身で5番目に大きい筋肉なので、筋肉量も増やしやすく、基礎代謝もアップします。基礎代謝が上がると消費カロリーも増え、太りづらい身体になります。

・メリハリのある身体になる

大胸筋を鍛えることで、盛り上がった大胸筋と引き締まった腹筋の間が明確になり、メリハリのついたボディが手に入るでしょう。

・姿勢が良くなる

体幹部分を占めている大胸筋を鍛えることで、体幹強化につながります。体幹が強化すると身体が安定し、姿勢が良くなります。

・全体のトレーニングの質が向上する

大胸筋を鍛えると、身体全体の筋肉のバランスが良くなります。持久力が向上し、トレーニングを長時間続けられるようになるので、全体のトレーニングの質も向上します。

デメリット

大胸筋を鍛えることのデメリットを紹介します。

・長距離ランナーには不向き

大胸筋は大きな筋肉のため、鍛えることで体重が増加しやすくなります。大胸筋を鍛えて大きくし過ぎると体重が増え、長距離などのランナーにとってはマイナスとなる可能性があります。大胸筋は走るうえで必要な筋肉の一つなので、走る際の負担にならない程度のトレーニングをおこないましょう。

・ケガのリスクがある

大胸筋は鍛えやすい箇所も多く、早く効果が得られるのでトレーニングへのモチベーションが上がります。しかし、鍛えすぎるとケガのリスクが高まります。効果が出やすいからといって、過度なトレーニングは禁物です。

・姿勢が悪くなる可能性がある

大胸筋は腕の前部分に付着しているため、過度に鍛えすぎると肩が筋肉で引っ張られ、猫背になります。大胸筋部分だけを過度に鍛えるのではなく、バランスの良いトレーニングが必要です。

大胸筋を効果的に鍛える自重トレーニングメニュー

男らしさを演出するたくましい胸板を作る大胸筋は、ジムなどのマシンを使わなくても鍛えられます。
自宅で気軽にできる、自重トレーニングメニューを紹介します。

プッシュアップ

プッシュアップとは、いわゆる腕立て伏せです。このトレーニングでは、大胸筋中部を鍛えられます。部活動などでもおこなわれている、昔からある自重トレーニングです。
大胸筋だけでなく、三角筋・上腕三頭筋も鍛えられるので、ぜひ積極的におこなってください。

1. つま先と両手をついて身体を一直線にする
2. 肘を曲げて身体を下ろし、持ち上げる
3. 息を吸いながら下ろし、吐きながら上げる

インクラインプッシュアップ

プッシュアップのバリエーションで、大胸筋下部を鍛えられます。インクラインとは「斜め上」を意味し、椅子やベンチなど高さがある物に両手をついて、身体と床の角度を斜めにしておこなう腕立て伏せです。

1. 両手を椅子につき、足を床について身体を一直線にする
2. 肘を曲げて身体を下ろし、持ち上げる
3. 息を吸いながら下ろし、吐きながら上げる

デクラインプッシュアップ

デクラインプッシュアップもプッシュアップのバリエーションの一つで、大胸筋上部を鍛えられます。デクラインは「斜め下」の意味で、椅子やベンチに足をのせます。足を高くし、頭が下がった状態で腕立て伏せをおこないます。

1. 足を椅子の上に置いて、両手は床につく
2. 肘を曲げて身体を下ろし、持ち上げる
3. 息を吸いながら下ろし、吐きながら上げる

ダイヤモンドプッシュアップ

ダイヤモンドプッシュアップは大胸筋中部を鍛えられるトレーニングで、ダイヤモンドマーク(◇)を作るように両手を床につけて、腕立て伏せをおこないます。

床につける両手の位置をより内側に置くことで、肩関節の内転が大きくなり、より強度が上がります。
胸板の谷間をくっきりとさせたい場合に最適のメニューです。

1. 両手でダイヤモンドマーク(◇)を作るように床につく
2. 肘を曲げて身体を下ろし、持ち上げる
3. 息を吸いながら下ろし、吐きながら上げる

アーチャープッシュアップ

大胸筋中部を強く鍛えられるメニューが、アーチャープッシュアップです。アーチャー(弓兵)の名のとおり、弓を引くように片腕を伸ばすようにしておこないます。
上級者向けトレーニングで、屈伸する側の腕には大きな負荷がかかります。

1. 腕を肩幅より広げてプッシュアップの姿勢になる
2. 片方の肘を曲げて、身体を片側に下ろす(片方の肘は伸ばしたまま)
3. 持ち上げたら、反対側に身体を下ろす
4. 息を吐きながら下ろし、吸いながら上げる

ディップス

大胸筋下部を強く鍛えられるトレーニングが、ディップスです。
ディップスでは両手だけで自分の体重を支えるため、自重トレーニングとしては最高峰のメニューといわれています。同じ高さの椅子を2脚用意すれば、自宅でも簡単に高負荷のトレーニングが実現できます。
鍛えづらい大胸筋下部に効くメニューで、しっかりとおこなうことで腹筋との境界線がはっきりとし、メリハリのある大胸筋を作れます。

1. 2本のバーに両手をつき、膝を曲げて身体を浮かせる
2. 肘を曲げて身体を下ろし、持ち上げる
3. 息を吸いながら下ろし、吐きながら上げる

大胸筋を効率的に自重トレーニングする際のポイント

マシンを使わない自重トレーニングの場合も、やり方次第では効果的であったり、効果が半減してしまったりします。

自重トレーニングの効果を最大限に発揮するには、以下のポイントをしっかりと把握して取組みましょう。

ゆっくりとした動きでおこなう

マシントレーニング同様、自重トレーニングの際は、筋肉は反動を使わずゆっくりと動かすことでより効率良く鍛えられます。

反動を使わず、ゆっくりと筋肉を動かすトレーニングをスロートレーニングといいます。ゆっくりと動かすと、筋肉が収縮している時間が増え、血液の流れが阻害されます。血液が制限された状態になることで筋肉により負荷がかかり、筋肥大効果がアップします。

正しい姿勢を維持したままおこなう

正しい姿勢でトレーニングをおこなうことは、トレーニング効果を高めるポイントの一つです。

誤った姿勢でおこなえば、本来鍛えるべき箇所ではない部分に負担がかかり、鍛えたい箇所が鍛えられないばかりか、身体を痛めてしまるおそれがあります。
正しい姿勢でおこなえば、狙った箇所に的確に刺激が伝わり、たくましい大胸筋を手に入れられます。

効果が出なかったり痛みや違和感があったりするときは、正しい姿勢でおこなえていない可能性があります。トレーニング時の姿勢を撮影してチェックしてみてください。

意識する場所は鍛える箇所のみ

トレーニング中は、鍛える場所を意識することが大切です。
意識するのは簡単ですが、慣れないとついつい忘れてしまいがちです。

何も考えずやみくもにトレーニングをおこなうと、効果が半減します。鍛えている部位のみに意識を集中することで、筋肉が上手く収縮するようになります。

トレーニングの際は、スマートフォンやタブレットを利用して自身を映しながら、フォームをチェックします。鍛えている筋肉に意識を集中して、トレーニングをおこなってください。

【宅トレ】大胸筋を効率的に鍛える方法とは?山本義徳先生直伝!自宅で大胸筋を鍛えたい方に朗報です。山本義徳先生がおすすめする鍛え方は「プッシュアップ」また、手幅によっても筋肉に効く箇所が変わってきます。ぜひ、本記事を参考にしてみてください。...

まとめ

たくましい胸板を作る大胸筋は、自宅での自重トレーニングで効果的に鍛えられます。

大胸筋を鍛えるには、上部・下部・内側・外側の4部位のそれぞれに合わせたトレーニングが必要です。自重でおこなえる4部位を鍛えるトレーニングでは、プッシュアップ・ディップスなどのメニューがオススメです。

トレーニングの際には、正しい姿勢でトレーニング部位を意識しながら、ゆっくりとおこなうことでより高い効果を得られます。

公式ライン

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。

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