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僧帽筋の筋肉痛に効果的な予防・対策を山本義徳が解説!

首・肩・背中にかけてついている僧帽筋が緊張して硬くなると、肩こりを起こしてしまいます。猫背の人や重い荷物を持つ人、僧帽筋に疲労が溜まっている人はなおさら肩こりになりやすいでしょう。
今回の記事では、僧帽筋の筋肉痛に効果的な3つの対処法と2つの予防法を解説します。肩こりに悩んでいる人やトレーニングをしている人は、ぜひ参考にしてください。

僧帽筋とはどのような筋肉?

僧帽筋とは、背中の表層部についている、首の後ろから肩・背中にかけて広がる筋肉です。僧帽筋は、繊維の方向ごとに3つに分けられ、それぞれ僧帽筋上部線維・僧帽筋中部線維・僧帽筋下部線維といいます。

僧帽筋上部線維は、首の後ろ部分の筋肉を指します。おもな作用は、肩甲骨を引き上げたり内転させたりすることです。僧帽筋中部線維は、背中の上から肩にかけての筋肉で、肩甲骨を引き寄せたり内転させたりする作用があります。僧帽筋下部線維は、背中の真ん中から肩にかけての筋肉です。肩甲骨を持ち上げたり引き下げたりする役目を果たしています。これら3つの線維が上手く働かなくなると、肩こりにつながってしまいかねません。

僧帽筋の筋肉痛は肩こりにつながる

肩の筋肉が張る・肩が重たい・痛いなどの症状を指して、よく「肩がこっている」というでしょう。日本整形外科学会によると、肩こりは「首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じ」がする症状だと表現されています。

引用:「肩こり」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

この「首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて」ついている筋肉が僧帽筋です。肩をすくませたり姿勢が悪くなったりして、肩や背中が長い時間緊張している状態が続くと、僧帽筋に負担がかかって硬くなり、肩こりを引き起こします。特に、肩が内側に入った姿勢の人・背気味の人・重い荷物を持つことが多い人・僧帽筋に疲労が溜まっている人は、肩こりに悩まされることが多いでしょう。

肩が内側に入った姿勢・猫背気味

肩が内側に入っている姿勢・猫背の状態が続くと、肩まわりの筋肉が緊張して、肩こりを起こします。とりわけパソコンやスマートフォンを長時間使っている人は、顔が前のめりになって首が下を向き、背中が丸くなって猫背になりがちです。

デスクワークの人は、高すぎる机で作業していないでしょうか。猫背になると肩甲骨が外に広がって、胸郭や肩甲骨まわりの筋肉の働きが悪くなります。なで肩やストレートネックの人も肩に負担がかかるため、肩こりになってしまいがちです。

重い荷物を持つことが多い

重い荷物を持つことが多いと、肩まわりの筋肉が緊張して硬くなり、肩こりが起きることがあります。カバンを片側に持つクセがあって、片方の肩だけこっているという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
荷物を持つときには、肩から背中にかけての筋肉が荷物を支える姿勢を維持することになるので、血流が悪くなります。血流が悪くなると、筋肉は酸素不足の状態で収縮し続けるため、肩まわりに痛みが出てくるのです。

僧帽筋に疲労が溜まっている

僧帽筋に疲労が溜まっている人も、肩こりを感じやすくなります。僧帽筋が疲れて硬くなると筋肉の血管を圧迫して血流が悪くなり、栄養が満足に行きわたらなくなる結果、筋肉疲労を起こしてしまうのです。筋肉疲労が蓄積されるとさらに僧帽筋が硬くなり、肩の重だるさ・痛みを感じるようになるでしょう。

疲労が溜まる原因はさまざまですが、ストレスも一因となります。ストレスは身体を緊張させたり自律神経を乱れさせたりして、血流を悪くしてしまうのです。

僧帽筋の筋肉痛がツラいときの対処法

僧帽筋の筋肉痛がツラいときは、痛みを緩和させるよう対処することをオススメします。ストレッチ・セルフマッサージ・僧帽筋を温めるという3つの対処法を紹介しますので、痛みを感じたときにトライしてみてください。

ストレッチ

ストレッチでは呼吸を止めず、反動はつけないようにじっくり筋肉を伸ばしましょう。

<僧帽筋上部線維のストレッチ>

  • 右腕を上げて、頭を軽く支える
  • 手で頭を誘導するように、右ななめ前へ首を前屈させる
  • 15秒から20秒キープ
  • 左腕を上げて頭を支え、反対側も同じように伸ばす

<僧帽筋中部線維のストレッチ>

  • 真っ直ぐ立って、脚を肩幅に開く
  • 手を組んで腕を伸ばす。腕は床と平行になるように
  • 肩甲骨を広げ、首や背中を丸める
  • 15秒から30秒キープ

<僧帽筋下部線維のストレッチ>

  • 背筋を伸ばして椅子に座り、両手を両ひざの上に置いて開脚
  • 右手で右ひざを押すようにして、身体を左側に回す
  • 15秒から20秒キープ
  • 姿勢を戻して、反対側も同じように伸ばす

セルフマッサージ

僧帽筋の筋肉痛を対処するには、セルフマッサージとして「肩井(けんせい)」の指圧が効果的です。肩井とは、肩にあるツボのこと。自分の身体を上から見て、乳頭から鎖骨・肩へ上がっていったときに、肩の一番高いところに位置しています。

<肩井の指圧>

  • 手を下ろしたときに手が椅子や床に触れないような場所に座る
  • 右手の人差し指・中指・薬指の3本を左の肩井にあてる
  • 手の重さで沈むところまで指を押し込んでキープ
  • 肩井を指で押したまま、左腕をゆっくり前後に動かす
  • 筋肉のゆるみに合わせて、さらに深く指を押し込む
  • 1分間続けたら、反対側も同じようにおこなう

肩井を押すときは、無理に力を入れるのではなく、深さを保つよう意識することがポイントです。

僧帽筋を温める

僧帽筋の筋肉痛を感じているときは、血流が悪くなっていると考えられます。そのため、筋肉痛をやわらげるには僧帽筋を温めて、血行を良くすることが有効です。例えば、38度から40度のぬるま湯に浸かって軽くマッサージやストレッチをしながら、身体全体を温めると良いでしょう。

お風呂から上がったら、今回紹介したストレッチをおこなうこともオススメ。レンジで温めるホットパック・使い捨てカイロを肩にあてることも、手軽に取入れられる対処法です。そのほか、適度な運動をおこなうと、血行の改善が期待できます。

筋肉痛を早く治す方法は、山本義徳先生が解説している以下の記事もご覧ください。

筋肉痛を早く治す方法 山本義徳先生も使用するサプリメントを解説 https://www.youtube.com/watch?v=cMYhRl3oVFA 筋肉痛がなかなか引かないという場合...

僧帽筋の筋肉痛を予防する方法

僧帽筋の筋肉痛がツラいときは痛みをやわらげるよう対処すべきですが、筋肉痛を予防することも同じように大切です。筋トレ前の動的ストレッチと筋トレ後の静的ストレッチの2つの予防方法を紹介します。

筋トレ前の動的ストレッチ

「動的ストレッチ」とは、反動をつけながら身体を伸ばすストレッチです。筋トレ前に反動をつけないゆっくりとした静的ストレッチをおこなうと、筋力を低下させることがわかっています。
そこで筋トレ前には、以下のような動的ストレッチをおこなうと良いでしょう。

  • 椅子に座り、アルファベットの「Y」をイメージして両手を上げる。手のひらは前へ
  • アルファベットの「W」をイメージして、ひじを曲げる
  • 背中を中心に寄せ、胸を張って前を向く
  • 5秒間キープ
  • 両手を上げる姿勢に戻り、5回繰り返す

あごを引くこと・呼吸を止めないことがポイントです。

筋トレ後の静的ストレッチ

「静的ストレッチ」とは、反動をつけずにゆっくりと身体を伸ばすストレッチです。筋トレ後に反動をつける動的ストレッチをおこなうと、筋肉損傷からの回復を遅らせてしまいます。
筋トレ後には、以下の手順で静的ストレッチをおこなうようにしましょう。

  • 頭の後ろで手を組み、頭を前に倒して首を伸ばす
  • 首から背中の真ん中にかけて伸びているのを感じたら、1分間キープ
  • 首を戻したら、次は頭を右に傾けて左側の僧帽筋を伸ばす
  • 背中の左側が伸びているのを感じたら、1分間キープ
  • 首を戻し、右側も同じように伸ばし、1分間キープ

座ったまま、3分間でできる手軽なストレッチです。

なお、筋トレの効果を高める正しいストレッチ方法は、山本義徳先生が解説している以下の記事も参考にしてください。

筋トレの効果を高める正しいストレッチの方法を紹介!ストレッチの常識を変えろ!https://www.youtube.com/watch?v=XtZup3wAxUQ トレーニング効果やケガの予防には、タイミン...

まとめ

僧帽筋は、首の後ろ・肩・背中にかけて広くついている筋肉です。僧帽筋が緊張して硬くなると、肩こりを起こしやすくなります。特に、肩が内側に入った姿勢の人・猫背気味の人・重い荷物を持つことが多い人・僧帽筋に疲労が溜まっている人は、肩こりになりやすいでしょう。

肩こりがツラい場合には、ストレッチ・セルフマッサージ・僧帽筋を温めるという3つの対処法がオススメです。筋トレ前には動的ストレッチ、筋トレ後には静的ストレッチをおこなうと、筋肉痛を予防できるでしょう。

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監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
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